『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』(メアリアン・ウルフ 著、太田直子 訳)の要約をflier(フライヤー)で読んだ。
私がこの本を読みたいと思ったのは、表紙に書かれてあった『「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』が気になったからだ。
そして、特に知りたいと思ったのは以下3点。
- 「深い読み」とはいったいなんなのか
- 「深い読み」をすることによって、どんなメリットがあるのか
- 「深い読み」を身につける方法はあるのか
この感想文では、本書に書かれてある「深い読み」について学んだことをアウトプットする。
「深い読み」とはいったいなんなのか?
「深い読み」とは、「高次の読字体験」のことであると書かれてあった。
これを体得するためには、時間を要するらしい。
そして、「深い読み」のプロセスについては以下のようなことが挙げられている。
- 他人の視点に立ち、その気持ちになる
- 背景知識が必要で、知識が豊富であればあるほど、多くの類推を引き出せる
- 類推を用いて、推論・分析・評価を行うことができる
- それらを通して、自分の知識のプラットフォームが強化される
- 他人がなぜそのように考えたり感じたりするかについて、理解できるようになる
つまるところ、クリティカル・シンキング(批判的思考)のことだろうと思う。
「批判的」と聞くと、誰かの欠点を指摘するようなイメージがあるかもしれないが、そうではない。
ここでいう批判的思考とは「他人の主張を鵜呑みにするのではなく、自分で吟味し評価する」ことの意である。
著書によると、デジタルデバイスの登場によって、「深い読み」をする子どもたちが減少してきているという。
「深い読み」をすることによるメリットとは?
「深い読み」をすることによってクリティカル・シンキングが身につく。
クリティカル・シンキングのメリットは、「グロービスMBAクリティカル・シンキング」によると、以下の通り。
- それまでできなかった斬新な発想ができる
- それまで見落とされていた機会や脅威に気づく
- 相手の言いたいことやその前提を的確に理解できる
- 会議や議論を効率的に進め、集団としてよりよい意思決定をすることができる
- 説得や交渉、部下のコーチングなどがうまくできる
つまり、「深い読み」を繰り返すことにより、新たな発想が生まれやすくなったり、コミュニケーション力が向上したりする。
「深い読み」を身につける方法とは?
これは小さな子どもを育てるときの話になるが、「深い読み」を身につけるためには、「親が子どもに読み聞かせすること」が効果的とのこと。
大人の場合は、本を読み、できる限り著者や登場人物に”移入”し、思考を繰り返すことで身につけられるだろう(持論)。
哲学者のチャールズ・テイラーによると「人間の言語学習にとって不可欠の条件は共同注意(対象に対する注意を他者と共有すること)」らしい。
親と子が一緒になって喜んだり、驚いたり、次の展開を想像したりすることが大事なんだと思う。
また、ここで重要なポイントがもう一つある。
それは、デジタルコンテンツではなく、物理的な本で読み聞かせを行うこと。
子どもの読む経験を定着させる特徴として、物性と回帰性というものがある。つまり本という物質的で「そこにある状態」に触れ、前のページに繰り返し戻るという経験をすることが大切なのだ。
どうやら物理的にページをめくるという動作(刺激)が、子どもの記憶に影響があるみたい。
デジタル機器を使って子育てをすると、言語能力の指数によくない影響がありそうな研究結果もある。
近年の発達心理学者による研究によると、さまざまなデジタル機器を用いて育てられた子どもよりも、言語入力のほとんどを人間から受けとる子どものほうが、言語能力の指数は高いという。
かといって、デジタルコンテンツがすべて悪いわけではない。
著書によると、2歳以下の子どもについてはデジタル機器との接触は控えるべきであるが、3歳からは少しずつ触れさせるのとよい、とのこと。
その時の注意事項は以下のとおり。
デジタル学習の適切な使い方を子どもに教えることが重要である。たとえば、意見や消費に影響を与えかねない偏見や試みを見抜き、事実にもとづかない偽情報の可能性を認識するためには、検索する情報の評価方法を学ぶことも大切になってくる。
そして、いずれは紙媒体だろうがデジタルだろうが、媒体に関係することなく「深い読み」ができるようになることが理想とのこと。
自分でそのときに最適な媒体を選択し、自分で考えられるようになる「バイリテラシー脳」を身に着けたい。
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