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書感・読書レビュー

【読書レビュー】『タネの未来』は中学生が起業した物語。早く息子に読ませてあげたい

【読書レビュー】『タネの未来』中学生から事業を興す意味を学ぶ

この本は15歳の中学生(当時)が「タネ」という業界で起業したお話です。
彼の会社の屋号は「鶴頸種苗流通かくけいしゅびょうりゅうつうプロモーション公式Webサイト)」。
事業の内容は、伝統野菜のタネの販売と農薬・化学肥料無使用の野菜を育て販売することです。

私は『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』(小林 宙こばやし そら 著、家の光協会)を読み、「事業を興すとはこういうことなのだ」と、純粋な気持ちを持った少年から教わりました。

「中学生が起業?遊びの延長なのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、そういう方にこそ読んでもらいたいです。大人以上に真剣で、まっすぐな取り組みをされていることが伝わってきます。

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このままだとタネの未来は危ない!

著者である小林宙さんが伝えたかったことは「タネの未来が危ない」ということです。

実は想像を遥かに超えるスピードで、地球上からどんどんタネの品種がなくなっています。

農耕が始まる以前に人間が食用に利用していた作物は約1万種あったのが、20世紀後半には、55科408種にまで減少しているという。
日本でも、19世紀末に3000種ほどあったイネの品種が、現在では400品種になっているという。

そして、

前出の『シード ~生命の糧~』のほうでは、(中略)タネの94%が20世紀に消滅し、544種あったキャベツは28種に、カリフラワーは158種から9品種に、アスパラガスは46種から1品種になってしまったと伝えている。

なぜ、地球上から猛スピードでタネの品種が消えてしまっているのか?

あらゆるタネの品種が猛スピードで消えている理由を一言でいうならば「タネの進化」です。

人間は、より美味しい農作物を、より安定的に、よりたくさん生産するために、タネを進化させてきました。
その過程で食用にされるタネが大きく限定され、それまでにあった多様な在来品種がどんどん減ってしまっています。

中でも「F1品種」の普及の影響が大きいと言います。
F1品種とは、2つの異なる固定種を組み合わせて作られるものです。

ものすごく簡単にいうと「味のよいトマト」と「耐病性のあるトマト」を掛け合わせて「味がよく、病気にも強いトマト」を作るというもの。

「F1品種」は、農家にとっては育てやすく、お金になりやすい品種になりますので、他の品種を育てなくなってしまうわけです。
日本では、野菜のタネ(稲や麦などの穀物を除く)の90%をF1品種が占めていると言われています。

日本古来の伝統野菜を守るために会社を作った

そんなタネの現状を危惧し、小林宙さんが立てた目標が「各地の伝統野菜のタネを全国に流通させること」でした。

小学生のころは、欲しかったタネをコレクションとして手にすれば満足できていたのだが、中学生ぐらいになると「それだけでいいのか?」と思うようになってくる。1人でタネ集めをしていても、何も変わらない。世界全体とはいわなくとも、日本全体という規模でタネを残していくことが大事だと思うようになってきた。もし、僕のように「いろんな伝統野菜のタネが欲しい!」と思う人が増えて、各地の伝統野菜のタネが全国的に流通し続けたら、それは日本全体でタネをコレクションするのと同じだ。1人で集めるよりもずっとたくさん集まるはずだ。僕は、それを目標にしようと思った。

自分が好きなタネの未来が危ないと感じ、それを守るためにはどうしたらいいか。
それを真剣に考え抜いた結果、1人では現状を変えられないと悟り「流通」という発想にたどり着いています。

そして、次の行動を起こしました。

僕はまず、両親に向けて事業の企画書を書くことにした。A4用紙3枚程度に、なぜ地方のタネを守る必要があるのか、全国から伝統野菜のタネを集めることにどんな意味があるのか、自分が考えた流通の仕組みがいかにこれまでの流通のあり方を変えていくものなのか、父にも母にも納得してもらえるようにまとめた。

両親に起業を勧められたわけではなく、自分が必要と感じで起業を目指したんです。
しかも、すごく素晴らしい企業理念を持って。

私はこの文章を読んだときに、「本来の事業のあり方」を見たような気がしました。

世の中にある課題を見つけて、それをなんとか解決しようとする。
そのためにはみんなを巻き込む必要があって、だから事業を興す、という流れです。

これを15歳の少年が思いつき、行動に移していることに非常に感銘を受けました。

小林宙さんは、大人以上に事業に対して責任を持っている

さらに小林宙さんに感銘を受けたことは、自分で会社を興すにあたり、大きな責任を背負っていることです。

あれこれと調べていくうちに、今度は業種ごとにクリアしなければならない法律があることもわかってきた。たとえば古本の売買を商売にする場合は「古物営業法」に則らなければならないし、食品販売をするなら「食品衛生法」に基づいて販売許可をとらなければならない。もしかしたら、タネに関する事業も何かしらの許可を得ることが必要なのではないか。

そして、事業を営む上で必要な法律の知識を自分で学び始めました。

  • 農業書の専門書店「農文協・農業書センター」で種苗に関する法律関係の本を買いあさって読む
  • 農林水産省のサイトを読み込んだりしながら、条文一つ一つにあたっていく

省庁が作成しているQ&Aのサイトなんて、サクセスしてみるとA4版で100ページ以上の文書が掲載されていることもざらにある。でも、曖昧なままに事業を始めて、後からトラブルになるようなことだけは避けなければならない。1ページずつ、丹念に読み込んだ。

後でトラブルにならないように、専門用語がたくさん出てきて難しいと思われる省庁の書類にもきっちりと目を通し、誰にも迷惑をかけないように最大の努力をしていることが伝わってきました。
このような行動からプロ意識の高さがまっすぐに届いて、すごくいい刺激をもらいました。

まとめ

私は息子(現在小学1年生)がもう少し大きくなったら『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』を読んでほしいと思っています。

「仕事とはどういうことか?」ということが伝わる内容だと感じているからです。
そして「自分にも何かできるはずだ」と自信を持ってほしいと思っています。

世の中の課題を発見し、それをプラスに変換する方法を自分たちで考え、自分たちで動かしていく。

その方法は無限にあり、だからこそ、いろんな人に会い、いろんなことを体験し、人間力を鍛えていく必要があります。

それを子供たちに伝えるためにも、まずは私がそれを実行していきたいと思いました。

早く息子とこの本を出会わせたいと思う、今日このごろです。

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Web業界歴14年(2005年~)のソイエバです。はじめはWeb制作(デザインとコーディグ)から入り、企画制作・広告管理、Webディレクター、営業、教育部門などを経験してきました。 首都圏で5年働き、地方に移住。現在は個人事業主として企業の社員教育や提案アドバイザー等をしています。 プライベートでは、2児の子育て中。自分の好きな仕事をしながら、ストレスのない生活を送る、ということを心に決めて日々活動しています。 twitterやってます。 詳しいプロフィールはこちら。

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